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今回は先日から記事にしている、過去に山岳遭難者としてネットで有名になったyucon氏の遭難体験についての記事の続きで、yucon氏がなぜ遭難してしまったかを考察していきたいと思います。
※過去記事
伝説の遭難者yucon氏の体験について(1)
伝説の遭難者yucon氏の体験について(2)
ではさっそく始めましょう。
★山行での問題行動
1日目、道迷いのR氏と出会い、そのまま一緒に遭難し、T字尾根の途中から道を外れ、沢を登りボタンブチへ進んでしまい、そこでビバークした状況です。
2日目:2012年7月17日(日)
yucon氏はビバークしたものの不安からか夜眠る事は無く、夜明けから崖を登り始める事にしました、この時もR氏はyucon氏を見捨てる事無くロープを渡し救助を行なっています。通常の登山で人を支えられる強度のロープを何mも持っている人はベテランでもそう多くは無いと思います。R氏はそこまでの準備をしていながら何故この状況で救助要請をしなかったのでしょうか、逆にそこまでの装備を持っていたから
「自分は助かる」という自信があったのでしょうか。
そして、崖を登り切りまず思った事が、
「今日が平日で会社へ行かなければならない」という事だったようです。私もサラリーマンとして思い当たる節はありますが、この段階でyucon氏的には
「もう遭難から自力で脱した」と思ったのでしょう。正規の登山ルートに復帰出来たので、これは分からなくは無い事ですが、道に迷った後に正規の登山ルートに復帰し、また直ぐに道に迷うというのは比較的多い事故例です。体力や精神を磨耗した状態では正しいルート判断が出来ずルートを外れ易い為です、もしも皆さんも遭難を経験する事があれば注意してください。
その後、自宅に電話を掛けますが、その際もyucon氏は携帯電話のバッテリーを切らしてしまっておりR氏に電話を借りる事になりますが、山岳での携帯電話は
「緊急時に救助を呼べる」というかなり重要な役割を果たしますので予備のバッテリーを用意したり、必要以外は電源を切ったり、機内モードにし、バッテリー切れにより携帯電話が使用出来なくなる事態を避けなければなりません。yucon氏はそれを怠ってしまっていた様です。
少し余談とはなりますが、yucon氏が遭難した当時よりもスマートフォンの普及率が大幅に進んでいる現在では特にそれが重要です。yucon氏が遭難した当時、登山用GPSナビは非常に高価でなかなか買えるものではありませんでしたが、現在ではそれらを凌ぐ高性能、多機能なアプリケーションが簡単にスマートフォンで利用出来ます。これらをしっかりと活用出来れば、遭難防止に大いに役立ちます。本当に良い時代になりましたね。
話しが少し逸れてしまいましたが、R氏から携帯電話を借りたyucon氏は自宅へ電話し留守番電話にメッセージを残します。しかしyucon氏自身も後から反省していましたが、ここで
「危機的な状況は脱したのでこれから下山します」とだけメッセージを残して、現在地や現在の状況、下山ルート等何も連絡しなかった様です。ここでそれらを言えていれば今後の展開が大きく変わったことでしょう。非常に残念です。
そして、ここで少し疑問なのですが、yucon氏の自宅へはR氏の携帯電話で掛けているので、R氏の番号が残っていますよね?遭難3日目、家族が救助要請した際に、留守番電話の記録からR氏に連絡が行かなかったのかな?と。もしR氏に連絡が付いていればもっと早い救助に繋がったのではないでしょうか。
この日、遂に
コンパスと地図を使用し現在地を正しく認識します。そして稜線まで上がれば誰かに会えるだろうという考えで尾根まで上がる計画を立てました。コンパスも使用しているし、稜線に上がるのも正しい判断です。しかし、もう体力を失い過ぎていた為その日中には稜線に上がれませんでした。
そしてこの日、それとは別にyucon氏は自分の肛門からハエの幼虫が這い出してきているのを見ています。これはこの遭難劇をより悲惨なものと印象付けるエピソードで、当時ネット上では「そんな事ありえない、幻覚だろ」と言われていましたが、救出後の入院中に看護師の方も確認しているのできっと事実でしょう。
(参照:yucon氏のBlog)
6日目:2012年7月22日(日)
この日、また幻覚に苛まれ、yucon氏は全ての荷物、メガネまでも失いながら沢に落下。そして救出です。
特にここは考察が入る隙間は無いですね、幻覚が怖いとしか思いません。そしてギリギリのところで救出されるという強運の持ち主だな。という感想です。
★今回の遭難から見える精神状況
今回の遭難を見ると
「ベテランっぽい人と居るから安心」という思いや
「多分大丈夫だろう」という思いから遭難に陥る、いわゆる"楽観主義遭難"です。これは自らの願望などから非合理な楽観的思考を起因とした"認知バイアス"という心理効果による遭難です。今回はその認知バイアスについて幾つか紹介します。
正常性バイアス
これは東日本大震災の際でもよく言われたものですので知っている方も多いと思います、これは本来、日常生活の小さなトラブルから精神を守る機能で、想定外の事が起きた時に想定内と誤認する心理傾向です。
遭難時に正常性バイアスが働き過ぎると
「大した山では無いので大丈夫」「自分だけは大丈夫」という心理になり救助要請を遅らせる原因になります。
確証バイアス
これは先入観に一致する情報だけを受け入れ、都合の悪い情報や矛盾が生じても目を瞑り、さらに思い込みを強化していく心理傾向です。遭難時にこの確証バイアスが働き過ぎると
「自分は地図上のココに居るはず」という強い思い込みでコンパスも使用せず、現在地を誤認し、道迷いを起こしてしまいます。
集団同調性バイアス
これは集団に依存し集団と異なる行動を取り難くなる心理傾向です。特にこれは良くも悪くも
"空気を読む"事に長けた日本人に多く見られるバイアスだそうです。集団同調性バイアスが働き過ぎると、一人では引き返す様な難所でも、他の人達が進んで行くのを見ると自分が実力不足と分かっていても同じルートを進んでしまい滑落等のトラブルを引き起こします。
埋没費用の偏見よる判断ミス
これは、これまでに費やしたコスト(労力、時間、費用等)に思考を左右され、合理的な判断が出来なくなってしまう心理状況です。これは遭難時良く見られるもので「もしかして道迷いかも」と内心焦っていながらも
「ここまで歩いた労力が無駄になるので、引き返したくない、きっとこのままでも何とかなる」と思考し来たルートを戻れなくなる心理です。
現状維持バイアス
これは変化によって得られる可能性があるリターンよりも、それにより失う可能性のあるリスクに対して、過剰に反応してしまう傾向です。上記の
「確証バイアス」や
「埋没費用の偏見による判断ミス」と合わさり間違ったルートに内心気が付いていても引き返せなくなります。
★楽観主義遭難を防ぐ為に
上記は認知バイアスの一部ですが、登山ではそれらが働き合理的な判断が出来なくなると認識してください。そして多くの人は
「自分はそこまで認知バイアス働かないだろう」という認知バイアスが働いています。普段からバイアスを意識し、自分の行動を疑う様にする事が大事になります。
そして楽観主義の逆、悲観主義行動を実行する事が大切です。悲観主義行動とは「もしかしたら」「かもしれない」「念のために」と言った様な行動をする事です。
認知バイアスを知り、悲観主義な準備が出来たら次は正しいタイミングで、正しい判断を行なう事を意識します。ルートを外れたと感じても引き返さず進んでしまうと色々なバイアスにより行動するのが先延ばしになります。ギリギリまで先延ばしにして行動している様では直ぐに遭難に繋がってしまいます。違和感があったら直ぐに「もしかしたらルートを間違っているかもしれない、念のため地図とコンパスで現在地を確認しよう」という様に行動する癖を付けることが大切です。
最後に
はい、以上で終わりになります。
このBlogは初心者ソロキャンパー向けBlogですが、こういった遭難事例はアウトドアを行なう全ての人に多くの事を学ばせてくれます。
それでは皆さん良いアウトドアライフを!ではまた!
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