初心者の為のナイフの話

キャラメルキャンディキャンパーにアクセス頂きありがとうございます。
こんにちは、管理者のHagarieです。
突然ですが皆さんナイフ使っていますか?
「ナイフはキャンプの基本」という人もたまに居ますがブッシュクラフト等をやらないなら意外とナイフを使うことはないですよね。というよりキャンプにおいてナイフを使わなければならないシーンは私の知る限り殆どありません。
それにナイフって危ないし、使いこなすのも難しければ、手入れするのも面倒臭い、実際のところ包丁やハサミで必要十分です。でも男心をくすぐると言うのでしょうか、アウトドアでのナイフって所謂ロマンを感じてしまいますよね。
今回はそんなロマンアイテム「ナイフ」について話しをします。
★キャンプにおいてのナイフの役割
一般的にキャンプでのナイフの役割と言えば肉や野菜等を切る調理器具として役割や、ロープを切ったり、木を削ったりとする工作器具としての役割があげられます。
しかし前述した通り調理器具としてなら包丁やキッチンバサミなんかの方が便利です。
実際に私も過去にはオピネルというおフランス製のナイフを包丁代わりに使ったりしていましたが、今は上の写真のプリムスの折り畳み包丁と貝印のキッチンバサミを使っています。ロマンもへったくれもありませんが、ナイフと包丁では刃のカーブに違いがあり食材を切る用途で言えば使い易さが別次元です。
ロープを切るのは太さによりますがナイフよりもハサミの方が扱いやすし、バドニングで木を割るのは鉈や斧の方が優秀です。
フェザースティック作りには良いかもしれませんね。
★ではキャンプにナイフは不要か?
しかし、ナイフは包丁やハサミ、鉈等の専用器具程の働きは出来ませんが、上手く使いこなせばそれらを(それなりに)全て出来るオールラウンダーなマルチツールとして働いてくれるでしょう。
そして、何度か別の記事で書いた通り、キャンプには不便を楽しめるという強い要素があります。ですので上述した包丁やハサミ等の便利過ぎる道具はあえて使うのを控え、ナイフ一本で全てをこなしてみるのもキャンプを楽しむ上で大事になってくるかもしれません。
そして何よりそっちの方がロマンがあります。
★ナイフの種類(基本構造による分類)
ナイフ、ナイフと言っていますがナイフにも色々あります。使用用途によって選びましょう。という事でまずは基本構造の違いによるナイフの種類を説明していきます。
フォールディングナイフ
フォールディングナイフは、持ち手内部にブレード(刃部)を収納出来る構造のナイフの事で、携行性には優れる反面、折り畳み構造の為、後述するシースナイフに比べ堅牢性は低く、構造上、柄よりもブレード(刃部)の部分が短くないとブレードの先端が収納出来ない為、小型のものが多いです。6cm以下のものはポケットナイフとも呼ばれます。
シースナイフ
シースナイフとはフィックスブレード(固定刃)とも呼ばれ、ブレード(刃部)とタング(柄を固定する部位)が一体の鋼材で出来たナイフです。フォールディングナイフの様に折り畳む事は出来ず携帯性には優れませんが、堅牢性が高く、スパイン(ナイフの背)をハンマーで叩いたりという様な、少し無理な使い方をしても機構が破損し難い信頼性の高い構造です。また名称の通りシース(鞘)に入っている為、フォールディングナイフと違い折り畳みを解除する手間が無いので展開性も高いです。
ツールナイフ

ナイフの他にハサミやドライバー等色々な道具が付いたナイフです。ナイフと謳っていますがナイフ単独で考えるとシースナイフはおろか、フォールディングナイフよりも貧弱なモデルが大多数です。最近ではツールナイフとは呼ばずマルチツールなんて呼ばれ方もしていますね。しかしその何か心をくすぐるモノがあり、ツールとしては全て中途半端な事が分かっていながらも、つい一つは欲しくなってしまう逸品です。
以上がキャンプで使われるナイフの3種類です。ナイフは本当に種類が多く、今回紹介した形状の中間に位置するような形状のものも存在しますし、それら以外にも多くの種類が存在します。また今回紹介した形状の中にも細かな形状違いにより小区分があったりもします。
今回はそこまでは説明出来ませんが、それだけナイフに興味がある人が多く、需要があるという事なんでしょうね。
★ナイフの種類(鋼材による分類)
形状も然ることながらナイフの大きな要素といえばブレードに使われている鋼材、その種類によっても大きく区分されます。
・炭素鋼(カーボン)
炭素鋼は鉄に炭素を添加する事により作られる鋼材です、一般的に炭素鋼のナイフは高い硬度と研ぎ易く鋭利な刃先を得られ、使用を繰り返しても切れ味は落ち難く(刃持ちが良い)、刃物としての性能は後述するステンレス鋼よりも優れている反面、錆びが発生し易い傾向にあります。簡単に言うとナイフとして使う分にはステンレスよりも優れてるけど、使わない時でもある程度手入れしてないと錆びちゃうよ。という事です。
■代表的な炭素鋼とその特徴
・A2・・・本来は工業用刃具向けの鋼材、粘りがあるがとにかく研ぎ易い。
・3V・・・パウダーメタル製でとにかく丈夫で切れ味が落ち難い。
・青紙・・・日立製の鋼材。和包丁なんかで良く使われます。研ぎ易く切れ味は良いが錆び易い。
・青紙スーパー・・・青紙の上位ver,刃物鋼としては最高級のレベルと言われています。
・ステンレス鋼
鉄に一割以上のクロムを添加する事により作られる鋼材です。ヨーロッパではINOXなんて呼ばれ方をしています。ステンレス鋼のナイフは炭素鋼のナイフ程の切れ味はありませんが非常に錆び難く、メンテナンスしなくてもある程度の切れ味を維持し続けますが安いステンレス鋼材は刃持ちが悪く、上位グレードのステンレスは刃持ちが良いけど逆にステンレスにしては錆易かったり。そしてステンレス全般に言えることですが研ぐのが困難で、炭素鋼に比べ研ぎ時間が2~10倍掛かります。
■代表的なステンレス鋼とその特徴
・SUS420・・・炭素量0.33%、最低グレード、安価で"バカSUS"なんて呼ばれる事もあります。
・SUS420HC・・・SUS420の上位グレード。しかしされど420、刃持ちは悪い。
・SUS440A・・・炭素量0.6%、安価なナイフで利用されています。
・SUS440C・・・炭素量1.0%、そこそこ高級なナイフで利用されています。
・S35VN・・・炭素鋼並みに硬いけど、全然研げない。
・154CM・・・耐熱性・耐磨耗性が高いが耐食性は若干落ちる。そして丈夫過ぎて全然研げない。
・ATS-34・・・耐摩耗性が440Cの1.5倍、154CMよりも優れており高級ナイフ素材の代名詞にもなっています。
・銀紙・・・日立製のステンレス、家庭用の包丁等で使われています。バランスが良いとの評判。
SUS420製のBaladeo。いくら研いでもSUS420はSUS420です。
★ナイフに関する注意
まず使用に関してですがナイフはハサミ等とは違い扱いを誤れば非常に危険なものです。ナイフに関する事故の半分以上が刃を出したまま放置し、それを不要に掴んだり、落下させ怪我をしたものと言われています。2秒以上使用しない時はすぐに折り畳んだり、鞘に収納し刃をむき出しにしない事が大切です。また、あえて言う必要は無いと思いますが冗談でも人に向ける事は厳禁です。
法令上の話しになりますが「銃砲刀剣類所持等取締法」により刃物の取り扱いは厳重に規制されています。詳細に関しては割愛しますが刃渡り6cm以上のナイフは正当な理由が無いと持ち歩けません。キャンプ中は正当な理由となりますが、キャンプの行き帰りは人目に触れる事は厳禁ですし、すぐに使用出来ないように厳重に保管する義務があります。キャンプの時に使ってバッグに入れっぱなしだったりすると違反になりますので十分に注意してください。
★私のナイフに関するエピソード(どうでも良い話)
5年前の2013年4月29日、埼玉県と山梨県の県境に程近い奥秩父山塊の笠取山という山に私は居ました。その日は天候に恵まれたもののまだ山頂付近には雪が残る肌寒い季節でした。登山は順調で何の事故や怪我も無く山頂に到着し、山頂付近で食事をし下山をしていた時の事です。私が下山ルートとして選んだ道の脇は急な坂になっており熊笹が生い茂る道でした。
「ガサガサッ」
遠くの方で何かが駆け下りてくる音がしました。
熊か?鹿か?そう身構えると出てきたのは青い帽子だけ被った全裸の中年男性でした。標高1,800m付近で残雪があり肌寒い場所に全裸の変質者とエンカウントです。ガルキマセラ。
その男がブランブランさせながら私に近づいてきました。
その時、私が持っていたのはレザーマンのフリースタイルというプライヤー付きの小さなナイフだけでした。
畳めばプライヤーになる優れもの!
私はその小さなナイフを取り出し、変質者に向け近づくなと警告しました。
...しかしその変質者は一瞬ナイフを見たものの脚を止める事はありませんでしたし、私もこの小さなナイフでは変質者とは戦う事は出来ませんでした。
そして
あえて言う必要は無いと思いますが冗談でも人に向ける事は厳禁です。
以上で初心者の為のナイフの話を終わりにします。あんまりナイフを活用出来ていない私が言うのも変な話しですが、キャンプでのナイフの活用はアウトドアライフを豊かなものにしてくれます。重ね重ねになりますが反面非常に危険なものでもあります。是非ナイフを導入する際にはその点を理解した上で導入してください。
今回は研ぎ方に関しては記事に出来なかったので、それに関しては後日紹介したいと思います。
それでは皆さん、良いアウトドアライフを!ではまた!
初心者の為のナイフの研ぎ方の話
広告