シーズニングによる防錆効果を検証

「Caramel Candy Camper」のHagarie

2019年06月26日 10:00


~ シーズニングの防錆効果を検証してみた ~~


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Caramel Candy CamperのHagarieです。こんにちは。

先日スキレットを買ったんですが(→関連記事:スキレットの誘惑には勝てなかったよ。)やっぱり鋳鉄製の調理器具って錆び易く、管理が大変と聞きますよね。

私もスキレットやダッチオーブン等、鋳鉄製の調理器具の知識なんて無かったので錆の防止に関してネット上の記事や、雑誌、知人への聞き込み等をしてみたのですが、やはり多くの情報が錆び防止にはシーズニングや油を塗るのが基本中の基本の様に扱われています。また使用後に洗剤で洗うのも厳禁だとか。

しかし反面、一部のネット記事等では「使用後に洗剤で洗っても問題無し、使わないときも油を塗って保管する必要は無し」と書かれているのも目にします。

洗剤で洗って油も塗布しないのであれば、管理はかなり楽ですし私としても嬉しいのですが、大多数の人が"油が大切"と言っているのも事実です。

という事で今回は実際に検証を行なってみたので記事にしたいと思います。


★検証方法

■使用する器具
今回の検証で使用するのは前記事でも紹介したロッジの6.5インチのスキレットです。

■検証の内容
以下の3つの条件で14日間放置し錆が出るか確認。
・未シーズニングの状態
・未シーズニングの状態にオリーブオイルを塗った状態
・シーズニングしてオリーブオイルを塗った状態

この3パターンでどの状態で赤錆が発生するかを検証します。

※ちなみに今回"未シーズニングの状態"と呼んでいる状態は、表面の炭化皮膜のみを除去し、酸化皮膜(黒錆)は落としていない状態です。


まず始めにスキレットの表面について説明しておきます。

表面の黒い皮膜は酸化皮膜と誤解されがちですが実は"酸化皮膜"では無く"炭化皮膜"です。


本当の酸化皮膜はこの炭化皮膜のさらに深いところ、鋳鉄表面を薄く覆うように付いており、通常の使用ではこれを見る事は無いでしょう。またこの酸化皮膜は四酸化三鉄、一般的には"黒錆"と呼ばれるもので、非常に強固で洗剤程度では落ちる事が無いはずです。

ですので本当に洗剤で錆びるとしたら、この黒錆の防錆効果は薄く、防錆効果を発揮するのは表面の炭化皮膜に染込んだ油によるものと言えるで、今回はこの酸化皮膜は付けた状態で検証を行ないました。


★準備

まずは全体の炭化皮膜を除去します。

約600度に加熱するとスキレットは薄っすらと赤熱し、表面の油は炭化皮膜と一緒に灰になります。すると黒々とした表面は光沢を失い、色も灰色に変化します。


この時に赤錆も発生するので、これは洗剤を使い除去しました。


これで鋳鉄を覆うのは酸化皮膜だけで炭化皮膜、油は存在しません。

急いで一部に分厚い炭素皮膜を作り、常温まで冷ましてからその炭素皮膜部分、及び一部の未シーズニングのエリアにオリーブオイルを塗りこみます。


これでシーズニングしてオリーブオイルを塗ったエリアと、未シーズニングの状態にオリーブオイルを塗ったエリア未シーズニングのエリアが混在したスキレットになりました。

(本当は綺麗に三等分したかったのですが、分厚い炭素皮膜を作るため大量の油を強引に使用した為、油が跳ねて隣のエリアに飛んだり、流れ出したり、シーズニングの境界面の炭化が上手くいかず見栄えが悪くなってしまいました。)



★検証

3パターンの表面状態が混在したスキレットを通常通りフタをして、さらにパラフィン加工した帆布を軽く被せます。




その状態で3日間室内で保管しました。



こうなりました。


何となく"未シーズニングのエリア""赤錆"の様なものが見られます。




あまりにも変化に乏しかったので、
そこから外気に触れる(雨は当たらない)環境に持ち出し、
フタを外し、布も掛けずに11日間保管しました。





梅雨時という事もあり湿気が凄く、良くない環境だったので期待したのですが、殆ど変わりありません。



"赤錆"だと思われていたものも進行せずそのままです。



未シーズニングの状態にオリーブオイルを塗ったエリアも特に錆は無しです。

※このエリアに見られる斑点状の茶色いシミは、前述した通りシーズニングで跳ねた油です。炭化もさせていないので茶色いシミとなって紛らわしくなってしまいました。


実はスキレットの裏面はオイルを塗っておらず全面を"未シーズニングのエリア"にしていたのですが、若干、写真の奥側に赤錆の様なものが浮いている?様に見えます。




この検証の後、洗剤とスポンジで洗ったのですが、赤錆と思われていたものもその際に取れたので、金属の変色等では無く、"赤錆"が酸化皮膜の上に浮いていたので間違い無さそうです。



★検証結果

・14日間と期間が短かった為か大きな変化は見られなかった。

・未シーズニングのエリアには開始から短期間で赤錆の様なものが見られた。

・しかしその赤錆と思われるものも黒錆の上に発生した模様で、後の10日間で劣悪な保管状態にも関わらず大きな侵食は見られず、軽く洗っただけで取れた。

・シーズニングの有無に関わらずオリーブオイルを塗ったエリアは共に赤錆等の変化は見られなった。


以上の事により、鋳鉄調理器具は使用後に洗剤でゴシゴシ洗って、仮に表面の黒い炭化皮膜が完全に剥がれたとしても、油さえ塗っておけば早々に錆びるものでは無いと分かった。

また酸化皮膜(黒錆)だけでは完全には赤錆は防げないものの、赤錆は内部に侵食せず表面に浮いただけに留まり、使用前に日常的な洗浄を行なえば容易に除去が可能という事が分かった。


この事から、
「洗剤は使うな、保管の際は油を塗らないと錆びる」
「洗剤で洗っても良い、保管の際は油を塗らなくても良い」

どちらの意見も正しい事が分かりました。

洗剤を使わずに油を落とさなければ炭化皮膜に染込んだ油が防錆の役割をしてくれますし、完全に油を落としても使用前にもう一度洗えば問題無いと考えられます。


★シーズニングの意味

そもそもシーズニングをして炭化皮膜を付ける意味とは何でしょうか、

上記で検証した通り防錆の意味合いもあるかとは思いますが、それも含め最大の目的は「油の保持」に他なりません。


炭化皮膜は文字通り熱変質を起こした油の皮膜です。これは疎水性があり油と仲が良く、構造的にも目に見えないサイズの穴がたくさん開いた造りをしており、油を十分に吸収、保持する事が出来ます。この皮膜が長年のシーズニングの繰り返しにより層を増し、さらにより多くの油を吸収、保持する事が出来る様になります。

コレが所謂スキレットやダッチオーブンを"育てる"という事なんでしょうね。

分厚く何層にも育った炭素皮膜には、大量の油を染込ませる事が出来るので、使用時に食材がくっ付かなくなるという大きなメリットが得られます。防錆効果というよりはそちらの食材がくっ付かなくなるメリットの方がシーズニングをする意味なのではないでしょうか。


少し余談になりますが「せっかく育てたスキレットを洗剤で洗われた」偶にそんな事を聞きませんか?

炭素皮膜は、コンロやレンジフード、グリル内に付着した黒く変色した油とほぼ一緒か、さらにもっと強固の状態なので、一度付いたら中性洗剤で普通に洗ったくらいでは落ちる事はありません。

そして炭素皮膜は油を十分に吸収、保持出来るので洗剤で洗っても、再度油を染込ませれば、また元の状態になるので、洗剤で洗われたとかで怒る必要も無いのです、さぁ、洗剤で洗われても笑って流してください。そんな笑顔のあなたが好きレット。


★おわり

という事で如何でしたでしょうか。

検証してみて私個人としては「思っていたよりも適当に扱っても錆びないな」という感想でした。だって軽く油でコーティングするだけで錆びないんですよ?

鋳鉄製のスキレットなんて油断するとすぐに錆びるイメージあるじゃないですか、それが殆ど錆びないし、管理も楽な訳ですよ、これはもうアレですね、もっていない人達はもう買うしかないんじゃないですかね?それも今すぐ。そうココで!




あと今となっては、もう少し多くの条件で検証しても良かったのかなとか思うところなんですが、この検証の後に色々とスキレットを利用しているうちに愛着が湧いてしまい、もう今後このスキレットで検証実験は出来なくなってしまいました。

という事で今回の記事を終わりにします。

それでは皆さん良いシーズニングライフを!ではまた!


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初心者の為のシーズニングの話


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