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新潟親子遭難事故について

   

新潟親子遭難事故について


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今回は、キャンプとは直接関係ありませんが、ゴールデンウィークに新潟県の五頭連峰で発生した親子遭難事故について私も過去に登山をやっていた事もあり、記事にしたいと思いました。

まずは、お亡くなりになった二人のご冥福をお祈りすると共に、ご遺族そして関係者の皆様に対しお悔やみを申し上げます。




今回の事故の概要を簡単に説明します。

・発生日時は2018年5月5日
・場所は新潟県阿賀野市の五頭連山(標高1,000mクラス)
・出発が14時、登山開始は14時半~15時くらいと推定
・親子での登山(子供は6歳)
・装備は軽装
・夕方道に迷い、ビバークし一夜を明かし翌朝、家族へ下山の連絡
・救助要請の遅れ
・5月29日に山頂から約1.7km南西にある「コクラ沢」の斜面で遺体を発見


★GWではまだまだ残雪がある

 1,000mクラスの山と言えどGWではまだまだ残雪がある場合が多いです。100mで気温は0.6度下がると言われていますので、単純な理論値で麓よりも6度低いです。

そして今回の様な連山や、山塊の様な場所では登山道は日中でも山自体の影になる時間が長く気温が上がりづらく、さらに低山の為、木々は生い茂り、よりいっそう地表部が日光に晒されず残雪が多く見られる傾向があります。

私の経験ですが、過去にGW登山をしており、途中の避難所で休憩に立ち寄ろうとしたら下の写真の状態だったことがあります、雪に埋もれて休憩出来ません。
新潟親子遭難事故について
(遠近感が変に見えますが、小さな崖から見下ろす構図です)

 そして残雪があると正しい登山道が分からなくなります。下の画像は今回の件でよく見る画像ですので知っている方も多いかも知れませんが、説明すると、木に隠れ見え難い左の道が正規の登山ルートで、右の残雪のあるルートは間違いで、そちらに進むと道迷いで終わりです。
新潟親子遭難事故について
この様な残雪期の登山をした事がある方なら分かると思いますが、厄介な事に通常の地面よりも残雪の上の方が地面の起伏が少なく、草や低木も雪で隠れており歩き易くなっています。

さらに日が暮れてくると残雪部分の方が視認性が良い為、道と勘違いし易くなり、他の登山者の踏み跡も判別が難しくなる為、道迷いが非常に発生し易くなります。

ですので初心者が夕方に上記写真の場所を歩いていれば左の道を認識する事無く右に進み、何も分からないまま終わりです。


...と言うのも私は過去に似た状況に遭遇し、道迷いになり掛けた事があります。
下の写真がまさにそれで気が付いたら「ココドコ?」状態でした。
新潟親子遭難事故について
幸いにも私はその状況が午前9時で発生したのと、GPSやコンパス、紙地図を持っていた事、アイゼンとトレッキングポールも装備していた事が幸いし、直ぐに「これはNG」と認識出来たので直ぐに引き返して登山道に戻れました。もちろんその時はそのまま登頂も諦め尻尾を巻いて帰りました。

 今回の五頭連山では分かりませんが、残雪が溶けきった後でも、雪と一緒に登山道も崩れてしまい下の写真の様に正しい登山道がロストしている場合もあります。
新潟親子遭難事故について
この写真を撮った時は明るい時間帯なので薄っすら踏み跡が見えて登山ルートだと認識出来ますが、これが暗がりで踏み跡が認識出来ないと、近くの獣道や残雪地帯を正規の登山ルートと誤認して終わってしまいますね。


★冷静に行動する

 もしも山で道に迷ってしまったらまず冷静になる事が何よりも大切です。人は思いの外パニックになり易く、そしてパニックになっている事を自覚する事は難しいです。

道に迷ってしまうと、かなり焦りますが、その「焦り」とはパニック状態の一歩手前、もしくは既にパニック状態かも知れません。その状態では遠くの木や岩を人と誤認したり、木々のせせらぎが人の話し声に聞こえたり等の軽い幻視や幻聴(※これらは"ただの勘違い"と思いがちですがこれらも幻視や幻覚の症状です、そして、"ただの勘違い"と思う事でパニック状態に陥っていると自覚出来ないのです)そういった幻覚症状が起き易くなり正しい判断が難しくなり、正規ルートからさらに外れてしまう要因になるかもしれません。

 道に迷ったら焦って行動する前にまずは冷静になってください、人間は水分を補給したり、食べ物を食べる事で一時的にですが冷静さを取り戻せますし、深呼吸をしましょう。喫煙者なら煙草を吸うのも有効でしょう。

 冷静さを取り戻したら、何よりも正規ルートに戻る事が重要です、現在地の確認をし、まずは道を引き返しましょう。残雪や岩だらけのガレ場等、踏み跡のはっきりしない場所では来た道がわからなくなって違う方へ行ってしまうこともあるので充分に注意しましょう。


★迷ったら登るのが正しい?

 あと、よく道迷いをしたら「登るのが良い」と聞くと思います。最悪山頂まで登ってしまえば正規ルートに辿り着けますので良い事には間違いありませんが、実際、登るのは非常に難しい事も理解した方がいいでしょう。森林限界を突破してしまえば開けており歩けない事もありませんが、今回の様に低山の場合はそうもいきません。ずっと樹林帯です。
新潟親子遭難事故について

私は遭難対応の練習で正規ルートの外側に出た事がありますが道なき道を登るのは途轍も無く大変です。30m登るのに30分くらい掛かかりそうでした。
新潟親子遭難事故について
 正規ルート以外は地面が踏み固められていないのでフカフカ、地面に脚を取られ易くただでさえ歩くのは困難なのに、上の写真の様な小さな段差があれば登ろうとしただけで地面は簡単に崩れてしまいます。まるでアリジゴクです。

それが道迷いで精神を磨耗した状態ですと尚更です、残雪があるなら更なるもので、私も経験がありますが残雪を踏み抜いてしまい登る事は実質不可能となります。


★道に迷ったら下ってはダメ

 登るのが難しいのは事実ですが、しかし下るのが最悪と言うのも事実です。自由に下ろうと思うと人は自然と水が流れるようなルートで下ってしまい最終的に沢に出易いです。残雪が残っていると尚更で、上の方で述べたように残雪の上は比較的歩き易いので残雪の上を歩いてしまいがち、そもそも残雪がある場所は普段山陰になり易い谷間が多く、残雪の上を歩いて下ると自然と吸い込まれる様に沢に導かれます。
新潟親子遭難事故について

 道に迷ったうえで沢に出てしまった場合、ほぼ終わりです。沢は一見すると樹林帯よりも藪が少ないので歩き易く、下に向かっているので「このまま山麓まで下っていけるんじゃないか?」錯覚し易いですが、沢というのは下っていくと滝や堰堤に突き当たり、それらを迂回しようにも崖にぶち当たり、濡れた岩は降る事は出来ても上ることは出来無いので、引き返そうにも引き返せず行動不能に陥り易い場所です。

そもそも沢周辺は岩がゴロゴロしており、さらにその岩も湿りがち、苔が生えてたりもしていて、本来ならソールがフェルトで出来ている"沢靴"を使わないと厳しい場所です。さらに滑ると硬い岩に身体を打ち付け行動不能になり易い危険な場所でもあります。そして、そんな怪我をしても沢周辺は携帯電話の電波が届き難い地形なのでそのまま終わりです。
新潟親子遭難事故について非常に危険な上に引き返せないし助けも呼べない、整備されていない沢というのはそういう場所です。


★出発が14時は致命的

 出発が14時というのも遅すぎますね、14時というとあの連山だと下山開始時間として考えても少し遅い時間帯です。上の方でも述べたとおり山の中では、山自体が影を作るので日没は非常に早いです。地平線が凄い高い位置にある様なイメージですね。
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(これは八ヶ岳連峰ですが、空はまだ明るいのに下山ルートの森は真っ暗です)


 そして低山の日没後は非常に暗いです、唯でさえ日光が木々に遮られ薄暗いのに、空も薄暗くなれば尚更です。そして明るいヘッドライトを用意していても地面はその光を反射せず吸収してしまい、思いの外、頼もしい物でも無くなってしまいます。

しかしヘッドライトが無ければさらに最悪で、そのまま行動不能に陥ったり、貴重な携帯電話のバッテリーを消耗しながらライトを使わなければならない事態になるかもしれません。ヘッドライトは冬キャンプの寝袋並みに必須なアイテムです。無ければ終わりです。
新潟親子遭難事故について
暗闇はパニック症状を悪化させ幻覚、幻視、幻聴を招く恐れがあります。


★暗くなったらビバーク?

 ビバークとは緊急的野宿です。ビバークをするには簡易テントであるツエルト等があれば良いが、意外と価格が高いのでソロテントのフライシートだけ持っていくのも良いみたいですね。最悪でもアルミのエマージェンシーシート(1,000円以下で買える)があればビバークは出来ますが逆にそれすら無ければビバークすら厳しいです。ゴールデンウィークではそもそも寒さに耐えられない事でしょう。仮に1日目は耐えられても2日以上遭難が続けば体力や精神が尽きて終わりです。枝や落ち葉等で簡易シェルターを作る方法はありますが体力と精神が磨耗した状況では作る事はほぼ不可能です。
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何よりもツェルト等で視界の殆どが人工物で占められると精神的な安定も得られます。


★食料と水は多めに

 山岳の基本ですが、行動食も含め、食料と水は多めに持っていくのが鉄則です。特に水が無くなるとあっと言う間にパニック症状が出始めます。私も過去に単独登山の道中で何かのトラブルで水を全て失い錯乱し掛けた方を見掛けた事があります。

 水が尽きた場合、早急に水を確保する必要がありますが、自然の中で手に入る水は、水場の水を含め煮沸して飲む必要があります。遭難状態で水あたりになれば体力が失われて終わりです。ちなみに煮沸も3分以上必要らしいです。


★さっさと通報する

 遭難していても、社会人としては大事にしたくないという気持ちは動きます。しかし、それもパニック症状の幻覚等と一緒で間違った認識です。1時間以上も正規ルートに戻れていなければ立派な遭難です。運が良ければ戻れる運任せのゲームの様なもので、偶然にも死んでいないだけの状況と自覚し、電波が通じる場所であればさっさと救助要請しましょう。

 通報した場合、公的機関が動けば無料ですが、公的機関が動けず民間依頼した場合、かなりの額を請求されるようです。ですので山登りの前にはモンベル等で山岳保険を掛ける事は大事です。最近ではネットでも申し込めますし、1泊2日1,000円程度からのプランも存在します。保険があれば救助要請するハードルも下がる事かと思います。


(リンク:モンベル山行保険)



今回の遭難事故について

 上で述べた事を踏まえ、もう一度今回の遭難事故についての概要を見てみると

・発生日時は2018年5月5日
・場所は新潟県阿賀野市の五頭連山(標高1,000mクラス)
・出発が14時、登山開始は14時半~15時くらいと推定
・親子での登山(子供は6歳
装備は軽装
・夕方道に迷い、ビバークし一夜を明かし翌朝、家族へ下山の連絡
・救助要請の遅れ
・5月29日に山頂から約1.7km南西にある「コクラ沢」の斜面で遺体を発見

これは...。


★今回の様な事故を防ぐには

 理想としては山に登る人全てが正しい山岳知識を持って、事前に練習した上で登山する事が好ましいですが、それは不可能ですよね。ですのでこういった事故を今後も防ぐ事は出来ないでしょう。もちろん、今回の件を見る限り子供も一緒だったと言う事で非常に悲しい事故に思えますので、再発防止の為、いっその事、入山の年齢制限とかも有りなのかも知れません。しかし日本では小学校や中学校の学校行事として山を登る事も多く、そんな国民意識なので入山の年齢制限なんて無理なのは承知ですが。

 ですので、全てを鑑みた上で思う事は、これからもこういった遭難事故は続くし、それを受け入れるしかないという現実です。もちろん今後遭難リスクを低減させるギアや仕組みが新しく作られ続けるとは思いますが、遭難事故は無くなる事は無いでしょう。

 現在でも既にスマートフォンのGPSを利用したオフラインで使用出来る地図アプリは無料で利用出来るし、インターネットで簡単に山登りの知識も得る事が出来ます。そして、これから自分が登る山を既に数日前に登った人が写真付きでBlogやSNSを通して無料で公開していたりもします。そしてそのインターネット環境は大衆化しており、山に登れる様な人なら既にその環境が揃ってるか、揃える事が簡単だと思います。

10年前の2008年では考えられない状況です、こんな非常に恵まれた環境にも関わらず、今回同様の事故は発生し続けています。

ですので今後どんなギアや仕組みが出来たとしてもこういった事故は続くでしょうし、完全に防ぐ事は出来ないでしょう。そしてそれを受け入れるしか無いと思います。


★最後に

 このBlogはキャンプBlogという事で多くのキャンパーさんが見てくれている事かと思いますが、キャンプと一緒に登山が趣味という方も多いかと思います、登山の際は十分に注意して、無理なら直ぐに撤退する事が大切です。

私も登山をやっていた頃は結構撤退していました。キャンプにも言える事ですが、撤退が出来るのはアウトドアスキルとして必須です。撤退する勇気を持ちましょう。

以上で今回は終わりにします。
それでは皆さんより良いアウトドアライフを!
それではまた!

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伝説の遭難者yucon氏の体験について(1)


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この記事へのコメント
どの程度の装備でビバークされたかは分かりかねますが、ビバーク時に家族へ連絡出来なかったのか疑問に感じられます。  出発時間からしてビバークではなく山中泊だった可能性はないのでしょうか。


ここでは関係ないことですが、救助要請前に相談できるところがあるればいいかもです。 加入の必要はありますが、山岳保険屋さんの相談窓口とかあればいいように思われます。
登山やりません
2020年11月10日 23:55
 
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